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あたらしい世界は眩しくて、私の胸は高鳴り始める。
希望に満ち溢れた目に映るものは
全てが新鮮で、少しだけ不安だった。
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理解しているつもりだった。
私はまだまだ未完成で、何者でもない。
何者にもなれる、まっしろな存在なんだと。
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我慢なんてしなくても、自然と寝食を忘れてしまう。
盲目的に課題をこなす日々。
ただ私は、早く上手くなりたいだけなんだ。
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トモダチって、どういう基準なんだろう。
子供の頃は普通に居た「親友」。
彼女たちとの距離と、今の友達との距離の差は、どれくらい?
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うだるような暑さの中、疲れ果てて荷物を置いた。
座り込んで、ひとつずつ整理する。
要るものと、要らないもの。要るけど今は忘れておくもの。
アスファルトに汗が染み込むのを、ぼんやりした意識で確認した。
まだまだ重い荷物を持って、休む間もなく歩き始める。
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出来上がった課題への達成感。
空を見上げて、煙を吐いた。
遠くで鳥の鳴き声が聞こえた。
居場所ができた、気がした。
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ありえないほど、綺麗な色。
想像もつかないような、面白い構成。
さっきまで笑い合っていた友達が、急に知らない人になる。
周りが見えれば見えるほど、劣等感で吐きそうだった。
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絵を描き始めて、何年経っただろう。
私が筆を持ち続ける理由。
ほら、新しい色が溢れ出してくる。
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てのひらからこぼれ落ちて、気が付いたらここに居た。
足元の水たまりは深く、私をつかんで離さない。
もう少ししたら抜け出すから、もう少しだけ、待っててね。
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夜道に白い息が溶ける。冷たい風が頬を撫でる。
何者でもなかった私は、自分だけの世界を見付けた。
今夜は迷わず帰れるだろう。月が照らしてくれているから。
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過去と違って、未来は創っていけるから、
私はいつまでも夢を見て、大切な人と手をつなぐ。
今がいつまでも続くように、つないだ手が離れないように、
今出来ることを挙げていったら、意外と簡単なことだった。
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積み木をひとつずつ積み上げていくように、
たくさんの傷があって、たくさんの涙があった。
今思い出すのは、きみの笑顔。
きみが思い出すのは、私の笑顔?
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たからものをリュックに詰めて、私はまた、歩き出す。
未来へ続く、未知なる道。
光でかすんで、先は見えない。
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いつもの自分の絵に、
いつもと違う文章がのせられてゆくのが
とても新鮮で楽しかったです。
もっともっと、描きたいものがふえました。
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ただ毎日を生き抜くだけで精一杯だった私は、
もったいないほどに、自分のことばかりでした。
リタイアしてしまったけど、最後に創れて嬉しかったです。
hiuna.(高瀬彩)